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ズンの使い魔とは ズンの使い魔とはOF(オコメファクトリー)から出版されたライトノベルである。略称は「ズン魔」。 作者はズンで、イラストは基本本家からパクっている。 zero.jpg ストーリー 平凡な高校生・汚染米人はある日突然、異世界コメトルニアに召喚されてしまう。彼をこの世界に召喚したのは、トリステイン魔法学院の生徒でありながら魔法の才能がまるで無い「汚染のルイズン」こと、ルイズン・フランソワーズン・ル・ザンク・ド・ラ・ヴァリエールだった。 失敗とはいえ、召喚の儀式によって呼び出された米人は、「使い魔」としてルイズンと契約のキスを交わす。すると、米人の左の頭が使い魔の証である契約で欠けた。こうして、ルイズンと「米」扱いされる米人との奇妙な同居生活と冒険が始まった。 登場人物 +... ルイズン・フランソワーズン・ル・ザンク・ド・ラ・ヴァリエール 本作のメインヒロイン。米色がかったブロンドの長髪と鳶色の瞳を持つ、オコメトール家の三女で65.4歳。身長65.4サント、スリーサイズは B65.4/W65.4/H65.4と小柄で細身のため、スタイルの良い同性に対してコンプレックスがあるが、細身にも関わらず腕っ節は強い。 コメステイン屈指の名門貴族であるオコメトール公爵家(始祖は王の庶子)に生まれ、コメステイン魔法学院に進学する。学院の進級時、使い魔召喚の儀式で地球人の米人を召喚してしまい、彼を使い魔とする羽目になった。「汚染のルイズン」の蔑称は、幼少の時から魔法に失敗し続けたため、魔法の才能が皆無であるとされたことから付けられた。だが魔法が使えなかったのは、四系統のメイジとは異なる系統の使い手だったせいであり、幾つかの事件によって「米のルビー」と「化学の教科書」を手にしたことから、「汚染」の魔法に目覚める。彼女の汚染は、コメリアの教皇ヴィットーリオによると“精神的苦痛”を司るもので、第 65.4巻時点で使える魔法は「爆発(エクスプローズン)」「汚染(ポリューション)」「妄想(デリュージョン)」「瞬間移動(ズンズーン!じゃあな!)」。強力な破壊力と威力を持つ一方、自分にダメージが来る。汚染に目覚めた後は、簡単な環境汚染はできるようになっている。 気持ち悪い外見とは裏腹に(?)、気位とプライドは天に昇るほど高い上、短気で爪噛むし鼻ほじるという厄介極まりない性格。また泣き虫という子供っぽい一面も見せる。出来の良い姉たちの存在や、魔法を使えないなどの理由から両親から全く期待されていなかったと思い込み、強いコンプレックスを抱いていた。そのため、他人に認められたいと思うあまり、物語開始当初は無茶をすることが多かった。第6巻では家族の反対を押し切ってムギビオン討伐の遠征軍に参加してもいる。しかし、その後は無茶をするのも貴族としてのプライドよりも仲間のためを理由にするようになりつつあり、第10巻ではズンリエッタに貴族の身分を返上し、コムギ王国へズンサを救出に向かった。第11巻でのコメステイン帰国後、ズンサを救出したことにより、ズンリエッタの義理の姉妹となり第2の王位継承権を得ている。 最初は米人のこともただの使い魔としか見ていなかったが、共に戦い続けて行く中で少しずつ惹かれていき、彼のことを1人の米として強く意識するようになっていく。ただし独占欲と嫉妬心が強いため、米人が自分を馬鹿にしたり、他の農薬と仲良くしたりするとキツイ罰を与えることから、米人には「こんな女と結婚したら大変だ」と思われている。現在では米人に依存している面が目立ち、米人に「自分がいなくなったら死んでしまうのではないか」と思われてしまうほどである。第13・14巻で、米人が母親からのメールに涙を流しているのを見て「米人のために何かしてあげたことがあっただろうか」という思いに駆られ、「汚染米の聖女」になることの対価に、ヴィットーリオに世界扉を開かせて米人を地球に帰すことを決意したが、結局米人は帰郷しなかった。第16巻で屋敷の地下室で密会した米人とズンリエッタを偶然目撃し、自分が消えればみんな幸せになれると思い、家出した。第65.4巻後半で米人と合流し、元素の兄弟の次男を雑魚扱いするほどになった。第65.4巻にてようやく自分の本当の気持ちに素直になる事を決め、米人と将来を決め、オコメノールにさえも真っ向から自分の気持ちをぶつけた。 好きな食べ物はクックベリーパイ。趣味は編み物だが、かなり下手。特技は米栽培。嫌いなものは麦。ズンリエッタの幼少時の遊び相手で、彼女が女王となった今でも友人として想われている。しかし、ルイズンはズンリエッタがいつも自分の人形を借りてはすぐに飽きるのを根に持っていたことが第17巻で明かされている。米人に「姫様は飽き性だからすぐに捨てられる」と言い、それを聞いて激怒したズンリエッタと殴り合い寸前の喧嘩になった(間に米人が割って入り、二人に殴られ蹴られた)。コメケとは顔を付き合わせれば憎まれ口を叩きあうが、陰湿な要素は無く、悪友とも言える関係である。 元ネタ ゼロの使い魔 公式サイト アニメ版 公式サイト
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前ページ次ページS.H.I.Tな使い魔 ルイズは久しぶりに上機嫌だった。 何かが良くなったわけでもない。午前中もやっぱり魔法は失敗してしまった。 それでもルイズの心は軽かった。 ここ最近ずっと味気なかった食事も、今はなんだかとても美味しく感じる。 康一が教室で言ってくれた言葉を思い出した。 そうだわ。わたし、まだ17なんだもの!これからどんなことがあるか分からない。 まだ自分の『運命』に絶望するのは早すぎる! 使い魔だって、最初はみんなと違ってたからがっかりしたけど、よく考えたら人間なんだから、猫や鳥を召還するよりずっと上等だわ。 ルイズは食事を終え、ナプキンで口元を拭いた。 午後は自習らしい。せっかくだから魔法の練習をしよう! そこに数人の男子が通りがかった。 そのうちの一人が、ポケットから小瓶を落としたので、ルイズは声をかけた。 「ちょっと。何か落としたわよ。」 ん?と振り向いた顔を見て、ルイズはゲッという顔をした。 ギーシュ・ド・グラモン。さっき教室でわたしに嫌味を言った、キザで嫌なやつ! 「なんだいルイズ。もう片付けは終わったのかい?」 ギーシュがいかにも嫌味な口調で言った。 ルイズは思わず怒鳴りそうになったが、我慢することにした。 確かに、自分の失敗のせいで彼にも迷惑をかけた。だからぐっと堪える。 「ええ。ミスタ・コルベールにもういいって言われたの。それより、その小瓶。あんたが落としたんでしょ?」 と、床に落ちている紫色の小瓶を指差した。 今度はギーシュのほうが、ゲェ~!!という顔をした。だが、瞬時に表情を取り繕うと、 「し、知らないね。それはぼくのものじゃないよ。適当なことを言わないでくれたまえ。」 と背を向けようとする。 「嘘!あんたのポケットから落ちたの見たんだから!いいから持っていきなさいよ!」 別にギーシュのことなんかどうでもよかったが、適当よばわりされたのは我慢ならなかった。 すると、ギーシュと一緒にいた友人達が、「おおっ!」と騒ぎ始めた。 「おい、ギーシュ!それってもしかしてモンモランシーの香水じゃあないのか!?」 「そうだ!この鮮やかな紫色の小瓶・・・間違いない!モンモランシーのだ!ギーシュ・・・お前モンモランシーと付き合ってるのか?そうだろ!」 「あ、あんまり騒ぐんじゃない!いいかい?彼女の名誉のために言っておくが・・・」 ギーシュが否定しようとしたとき、ルイズの後にあるテーブルから、一人の女の子が立ち上がった。茶色のマントだから一年生だろう。 その栗色の髪をした可愛い少女は、涙ぐんだ目でギーシュを見つめた。 「ギーシュ様・・・やはりミス・モンモランシーと付き合っておられたのですね・・・」 ぼろぼろと涙がこぼれる。 ギーシュは慌てて女の子の肩を抱いた。 「い、いやだな。ケティ。そんなつまらない勘違いで美しい顔を涙に濡らさないでおくれ。ぼくはいつだって君一筋なんだから・・・」 「へぇ~~~?君一筋・・・ねぇ。」 ギーシュはぎくりと固まった。ゆっくりと声をしたほうに顔を向けると、きれいな金髪の巻き髪をした女の子が立っていた。 「ギーシュ。あなた、やっぱり一年生の子に手を出していたんだ・・・」 ギーシュはケティの肩を抱いていた手をぱっと離した。 「ちち違うんだモンモランシー!彼女とはラ・ロシェールの森まで遠乗りをしただけで・・・。ああっ!その薔薇のように麗しい顔を怒りにゆがめないでおく・・・!」 その瞬間、バッチコーーン!と食堂中に響くいい音をさせて、ケティのビンタが飛んだ。 「ギーシュ様!最低です!」 そして泣きながら走り去っていった。 「ああっ!ケティ!」 思わず手を伸ばしたギーシュに、背後からドバドバとワインが振りかけられた。 ギーシュがゆっくりと振り向くと、モンモランシーはワインの空き瓶を床に投げ捨てたところだった。 「二度と私に近づかないで。」 凍りつくような声色でそれだけ言うと、つかつかと歩き去っていく。 要するに二股をかけていたらしい。ルイズは馬鹿なやつ。とつぶやいて立ち上がった。 ワインまみれで立ちすくむギーシュの横をすり抜けて出口へ向かう。 「待ちたまえ・・・!」しかしそこでギーシュがルイズを呼び止めた。 「・・・・なに?」 ルイズが振り向くと、ギーシュはルイズに薔薇の造花をつきつけた。 「君の軽率な行動のおかげで、二人のレディの名誉が傷ついてしまった・・・。どうしてくれるのかね?」 ルイズは薔薇を払いのけた。 「わたしの知ったことじゃあないわ。ギーシュ。二股かけてたあんたが悪いんじゃない。」 まわりの生徒達がやんややんやと騒ぎ立てた。 「そのとおりだギーシュ!お前が悪い!」 ギーシュの顔に赤みがさした。 「ぼくは君が呼び止めたときに、知らないといったはずだ。そこで引き下がっていれば、こんな騒ぎにはならなかった!」 ルイズは呆れた。心の底から呆れた。こんなやつが貴族を名乗っていいのだろうか。 だから馬鹿にした口調で斬って捨てた。 「あんたが二股をかけるのが悪いんでしょ。『青銅』・・・いや、『二股』のギーシュ?」 集まってきた人垣がどっと笑う。 ギーシュは思わず頭に血が上りそうになったが、それを堪えた。 相手は『ゼロ』のルイズだ。この僕が何をむきになることがある。 ギーシュはやれやれ、と溜息をついて見せた。 「まぁ、君のような似非貴族に、マナーを期待するのが間違いだったか。いいさ、行くがいい。『ゼロ』のルイズ。」 似非貴族!これ以上ルイズの心に突き刺さる言葉は他になかった。 「・・・ヴァリエール家を馬鹿にするならタダじゃおかないわよ、ギーシュ。」 ルイズが声の震えを押さえつけるようにして言うと、ギーシュはふふん、と笑った。 「僕はヴァリエール家を馬鹿にしてなんかいないさ。ヴァリエール家はトリステインでも最も由緒正しき家柄の一つだ!僕はとても尊敬しているよ!」 ただね・・・、ギーシュは口元をゆがめた。 「君は別だ、ルイズ。由緒正しきヴァリエール家に相応しくない落ちこぼれ。未だに魔法の一つも使えない似非貴族とは君のことさ。」 ギーシュはルイズを指差した。ルイズはその指に、自分の心臓を抉られたように思った。怒りと悲しみで言葉が出てこない。 「今日も授業をぶち壊してくれたね。君のような似非貴族がメイジのふりをしているから、僕たちはとても迷惑しているんだ。」 ルイズを助けに入る者はいない。みな、少なからずもルイズに思うところがあったのだ。 ところで・・・。ギーシュは、ルイズの耳元で囁いた。 「君・・・本当にヴァリエール公爵家の子どもなのかい?」 ルイズの頭が真っ白になった。気がついたときにはギーシュに杖を突きつけていた。 「決闘よ!!」 ギーシュは一瞬ぽかん、としたようだったが。やがてぷっと吹き出した。 周り中がどっと笑い出す。 「あはははは!ルイズ!君は自分が何を言っているのか分かっているのかい?君が僕と決闘だって!?」 ギーシュが馬鹿にしたようにいった。ルイズは震える声で答えた。 「そうよ!わたしはあんたに決闘を申し込むわ!」 ギーシュは、笑うのをやめた。でもねぇ・・・ 「この学院では決闘は認められていないんだよね。特に『貴族と貴族の決闘』はね・・・!だから、君がこうお願いするなら受けてもいいよ。」 芝居がかった口調で続けた。 「『今まで貴族のふりをしていてすみませんでした。わたしはしがない平民ですから決闘を受けてください』とね。」 口笛が飛んだ。騒ぎを聞きつけてあつまった人垣から「いいぞー!やれやれー!」と野次が飛ぶ。 くやしい!くやしい!くやしい!くやしい! ルイズは手を裂けんばかりに握り締めた。 どうがんばっても、わたしよりこいつのほうが貴族らしい・・・。そんなことくらい自分が一番分かっている。 貴族にも、平民にもずっと馬鹿にされてきた!誰もはっきりとは言わなかったが、ギーシュが言っているのは、ずっと自分が思ってきたことなんだ。 わたしはギーシュが憎いんじゃない・・・反論できない自分が情けないんだ!! 涙で視界がゆがむ。座り込んでしまいそうだ。 でも、こんなやつの前で泣いたりするもんか!泣くもんか!泣くもんか!泣くもんか! ルイズは必死に唇をかみ締めてギーシュを睨みつけた。 そのとき、高らかに声が響きわたった。 「それなら、ぼくが決闘を申し込むよ!」 ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド ざわめく群集をかき分けて、ゆっくりとギーシュの前に立ちふさがったのは、『ゼロの使い魔』と呼ばれた、小さな平民の男の子だった。 前ページ次ページS.H.I.Tな使い魔
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現在、時間で言うなら午前三時くらいの夜 「・・・もうちょっと寝かせてくださいよ。今日は授業も用もないはずじゃ?」 「お・お・あ・り・よ!!」 またも夢の世界に戻ろうと床の上で毛布をまた被ろうとしたものの無常にも剥ぎ取られてしまいます 剥ぎ取った本人のピンクのブロンドがかった髪を寝ぼけ眼で見つめようやく覚醒したドッピオは 「我が偉大なる主人ルイズ様。このようなお時間に何用で御座いましょう?ふぁー」 そのまま起き上がって床に座りなおし用件が何か聞きます 何故か寝巻きでなく制服を着ているルイズは腰に手を当てながらも神妙に答えます 「土くれのフーケを倒しに行くわよ」 「土くれ?また決闘を引き受けたんですか?明日にしてくださいよ・・・」 毛布を取り返そうと腕を伸ばすが叩き落とされてしまいます 「フーケよフーケ!!今巷で話題の泥棒よ!!」 「何で僕たちが行くんですか?警察に行かせる事じゃないんですか?」 「・・・とりあえず後で話すわ。ついてきて」 そのまま部屋を出てしまったルイズの後を追います 途中小腹が空いたドッピオは少々食堂からパンと具材を拝借し簡易サンドイッチを作ります。数は七つほど 校門の近くまで歩くと馬車が一台現れます 「・・・ずいぶんと遅かったのですね」 さらにその中からミス・ロングビルが現れます。少なからず怒っているように思えます 「時間がないわ。行きましょう。」 ロングビルは頷き馬車は動き始める 空気の重さを感じるもドッピオはまずサンドイッチを二つほど食べるととルイズに「詳細を」と訴えかけます 「昨日、破壊の杖が盗まれたわ」 「・・・盗まれた?!」 話はこうでした 昨日の昼過ぎに1人の職員が宝物庫前の通路を歩いていると扉が何かで破壊されていたといいます それも魔法ではなく何か恐ろしく巨大な力によって破壊されていたらしく そして中には「破壊の杖頂きますbyフーケ」の文字が大きく壁に書かれていたのだといいます 「そ、そんなことが・・・ちょっと許せないですね・・・!」 (・・・さすがに元の世界に冠する手がかりだから気合が入ってるわね) 「・・・でもそれと僕たちとどういう関係が?」 「あんたが疑われたのよ」 魔法を超越している破壊力を持っているドッピオの不思議な力が疑われルイズが学園長から事情聴取されたと言う訳らしく 「まぁ、その後犯人の目撃者が現れて疑いは晴れたんだけどね」 「な、なんか僕危なかったみたいですね・・・」 「それでその後が問題なのよ・・・」 目撃者の話でフーケの隠れ家らしき場所がわかったのは良いのですが誰も破壊の杖奪還に行く気がないときたのです さらに盗まれたのは王都より保管を任されている品であり内密に取り返さないと何を言われるかわからないので 他所からの増援は見込めなく、内部で片付けるしかないのが現状なのです しかし相手は噂によると巨大なゴーレムを操り、土系統のエキスパートであるとかないとか いくら精鋭揃いの教師陣と言えど戦うのと教えるのは違うわけです 「も、もしかしてそれで「なら、戦うしかないじゃないか!!」とか言ったんじゃないですよね?」 「だ、誰かが行かなきゃ行けないでしょう!!」 「だからってそんな凶悪な魔法使い相手に生徒を向かわせる馬鹿がどこにいるんですか!!」 「あっち?」 既に見えなくなった学院を指差すルイズ 「・・・・・・」 頭が痛くなってきました。と同時に グギュルルルル・・・ 軽快なお腹の音がしました 「あ・・・」 「・・・・・」 音の主はルイズでした。夜食をとったドッピオと違いずっと何も食べてなかったからでしょうか ルイズの顔は真っ赤に染まりました。ついでにワナワナと震えています 「・・・・ッアンタの所為よ!!このバカッ!!!!」 ルイズ渾身の右ストレートが炸裂・・・しませんでした ドッピオは何か未来が不安になったのであらかじめエピタフを使っていましたので回避可能だったのです 「お、落ち着いてください!ルイズさん!」 差し出したのは作っておいたサンドイッチです。後五つほど余っていました 「・・・・っ」 恥ずかしさを紛らわせるかのようにサンドイッチを奪い食べようとしますが (・・・・ドッピオって料理が出来るのかしら?もしかして・・) さっき本人が食べていましたから食べれるものなんでしょう ですが用意しているのに三分かかっておらず適当に作ったものなんじゃないかとルイズは思い (・・・また恥を晒すよりましよ!) 意を決して食べますが 「・・・あら」 その意はすぐに間違いと気づきました 「どうですか?」 「ッ・・・ま、まあまあね」 実際に言うとこのサンドイッチはとても美味しかったのです それもそのはず、ドッピオはコック長マルトーから直伝に多い、速い、美味いの料理を多数習っていたのです このサンドイッチも直伝の内の一つです。パンが早く見つかったのでこれにしたのです 早々と一個食べ終わったルイズはすっかり落ち着いていました そんな中 「着きましたよ」 このロングビルの一言で馬車の空気は一変しました 「あそこがフーケの隠れ家と言われています」 「いかにも隠れ家って感じね」 ルイズもロングビルの横に並び観察し始めます 周りはその一軒以外には何もなく、半径5mくらい外側には木々が生い茂っています 「早速調べに行きましょう」 「まぁ待ってください」 横を通り抜けようとするルイズの肩を引き止めます 「なにするのよ」 「いきなり敵地に突貫するのは無謀だって言ってるんですよ」 「なら、どうするんです?私としては中を調べた方がいいと思うんですけど」 ドッピオは頭を捻り 「燃やすってのはどうですかね?」 「燃やしちゃうの?それだと回りに火が散ってしまうかもしれないわよ」 「・・・木とはそれなりに離れていますし回りに火が移るのは問題ないと思います」 「だったら破壊の杖は?杖だったら燃えちゃうじゃない」 「それも大丈夫です。破壊の杖が想像通りのものなら・・・」 ドッピオは以前オスマンから破壊の杖を聞いた後、形状や材質がどんなものかと聞いてみてその絵まで見せてもらいました 説明だけではあまり要領を得ませんでしたが絵を見てみるとどんな物か大体分かりました (たぶんあれはロケットランチャー、一回きりの破壊の杖・・・か) 「・・・それじゃ燃やしちゃおっか?」 「そうですね。さっさとやってしまいましょう」 「あ、あんまりオススメできないと思いますよ?破壊の杖もフーケもいなかったらどうするんですか?」 「それは目撃情報が間違ってたんですね。僕たちのせいじゃないし・・・火はどうやってつけましょうか?」 「だったら私に任せて!魔法ですぐに燃やせるわ」 「・・・今回は大丈夫なんですか?」 「大丈夫よ!錬金も何も無くただ燃やすだけって言うなら・・・」 そうしてルイズは集中しだします。ドッピオはオロオロしています ルイズは魔法を使おうとすると例外なく、いつも・・・ ドッガーーーン!! ・・・こうやって爆発するのですから 「嘘・・なんで?」 ルイズは火の玉でも出したかったんでしょうか でも結果は 「小屋が半分くらい吹っ飛んでるの?」 爆発の影響で火は結果的に回りました。爆発の影響も大きかったのでしょうか瞬時に広まりました 「・・・・ルイズさん」 「ま、まあ結果を見れば大丈夫じゃない!」 「・・・僕は破壊の杖は火に耐えられるって確かに言いましたよ」 「え、ええ」 「ですが爆発にまで耐えられる保障はありませんから」 「え?」 「・・・今の爆発でフーケが来るかもしれません。少し様子を見ましょう」 「何も起きないし来ないわねー」 「そうですねー」 構えていたものの何も起きず拍子抜けしているドッピオとルイズと裏腹にロングビルはわなわなと震えていました しばらくしても何も起きず若干お腹が空いたのでドッピオは座り込みサンドイッチを食べています ルイズも隣から手を伸ばし食べています ときおりいつ持ってきてたんだか分からないハムを取り出したドッピオはキング・クリムゾンの腕で火のところまで持っていき焼いて食べてたりしています そんなことをしているうちにドッピオはミス・ロングビルについて考え始めました 小屋を燃やすときに焦っていたりするのをみて考え付いたのが (この人もお腹が空いてるのかなー) などという変な結論でした。もちろんありえません 焦っていた理由はただ一つ。ロングビルの正体がフーケで目の前の敵二人の行動に焦っていたのです 燃やされてしまって破壊の杖は大丈夫なのだろうかと考えるフーケの思考は 「ロングビルさん」 敵のうちの一人、最重要警戒の人に話しかけられ一旦停止しました 「は、はいっ何でしょう」 「・・・食べます?」 そう言って差し出されたのはサンドイッチでした 「いえ、お気遣い無く」 「そんなこと言わずに。夜からずっとなにも食べてないでしょう?」 事実少々お腹が空いたのは事実でしたが敵からなにかを貰うのは自殺行為です まあ、向こうからしてみれば仲間のようなものなはずですが今のフーケにはそれが考えられませんでした 「・・・本当に大丈夫ですから。ですから」 貴方方で食べてください言おうとしたのにここで彼女のお腹は正直に クゥ・・・キュルル・・・ 音を鳴らしてしまいました。ちなみに人のお腹が減るとなるのは自律神経が関係しているといわれます 特に鳴らさないようにと思うと余計胃が緊張しなってしまうようになる・・・らしいです 「・・・やっぱり、お腹が減ってるんじゃないですか」 「・・・くっ」 ロングビルはこの敵たちのちょっと前のやり取りを思い出しました (・・・恥ずかしさを押さえ込むほどの味がおそらくこれにはある ・・・でもこんなところで敵の罠に引っかかるわけには・・・) 考え込んだ結果は 「・・・一つだけ頂きます」 食欲に負けてしまいました 奇妙な食事会(?)が終わるころには家につけた火も消えていました 「・・・結局フーケは現れずじまい・・・か」 「まあ、それはそれでよかったんじゃないですか? 戦わないならそれにこしたことはないですよ」 ドッピオはそう言い立ち上がりました 「少し焼け跡を調べてきますんで待っててください」 「え?じゃあ私も」 「大丈夫です。すぐに戻ってきますから」 そういいドッピオは焼け小屋に入っていきました 「・・・やっぱり中に人はいない」 適当に中を調べるドッピオでしたが一つ目にはいるものがありました 「・・・もしかしてこれ」 目の前のものは煤(すす)で汚れて真っ黒ですがこれは間違いなく 「・・・破壊の杖。ロケットランチャーみたいですね」 ドッピオは汚れを払いそれを拾いますが 「・・・これを放置したままどこかに?」 明らかに怪しいそれを手にしたときからドッピオはエピタフを発動させています そして・・・ 「ルイズさん!!」 未来に危機を感じ瞬時に主の下に戻るのでした フーケにまたとないチャンスが訪れました (ここでこの小娘をこちらで拉致すれば・・・) 使い魔であるドッピオも手が出せない。これをチャンスといわずになんと言う 「・・・・・・」 意識を集中させ、自分のゴーレムを目の前の小娘に気づかれずに作り上げていくフーケ ですが人間にある情だってもちろん彼女にもある。自分の状態に気づいて笑顔で食べ物を渡してくれた使い魔の男のことを考えると 少し、胸が痛んだ その痛みと同時に 「ルイズさん!!」 その男がいち早く異変を察知して戻ってきた 状況はすぐに分かった 「ドッピオ?何そんなに焦ってるのよ」 「後ろ!速く逃げて!」 ルイズとロングビルの後ろにゴーレムが見えている。破壊の杖を囮にした罠だったのだ 「後ろ?なっ?!」 後ろに振り返り見えたものは土で出来たゴーレムだった ゴーレムはそのままルイズを掴もうとして・・・その手は空をきった 「・・・え?」 キング・クリムゾンの腕を使った跳躍、跳躍というには速すぎる跳躍 瞬間移動のごとくルイズの目のまえに来て彼女を脇に抱えた 「ちょっと、もっとちゃんと持ちなさいよ!」 「無茶言わないでください!ロングビルさんも早く!」 ですがロングビルは動きません 「・・・ミス・ロングビル?」 驚嘆の声はルイズからでしょうか ゴーレムは間違いなく土くれのフーケのものでしょう ですがゴーレムはロングビルを攻撃せず、あまつさえその人を自らの手の上を乗せたのです 「まさか・・そんな」 「ミス・ロングビルが・・・」 「「土くれのフーケ・・・」」 10へ
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物語を語る前に、まず彼の生い立ちから説明を始めよう。 彼は孤高の存在だった。彼には不思議な能力があり、彼は何時も時間を持て余していた どんな獲物も彼にとっては鈍間な餌にすぎず、物心つく頃には既に親をその能力で殺し食べた。 故に彼にとっては同属も餌でしかない ともかく、彼の棲んでいた世界は、彼にとってあまりにも狭く、陳腐で退屈な日常に辟易していた。 より広い外界に出ても、彼の目に映るのは愚鈍な餌ばかり、彼は幻滅した。 そんな折に、とある館を見付けた時。 奇妙な感覚が彼を襲った。何かが自分を招いてるような奇天烈極まりない感覚 興味本位で窓から侵入した時――――何時の間にか目の前に男が立っているのに気付いた その男から強烈に発せられる威圧感。 生まれて初めて感じる恐怖と言う名の感情。 時が止まったかのような中で彼は死を確信した。 男は、そんな彼を見ながらこう言った・・・優しく子供に言い聞かせるように 「何も恐れることは無いんだよ、友達になろうじゃないか」 生まれて初めて「自分以上」の存在を認めた彼は、男に仕える事となった。 彼に与えられた役は門番、務めは館を探る者や許可無く立ち入る者の完全殺害! 彼は主の為にひたすら侵入者を殺し続けた、何も知らぬ老人や子供であろうとも情け容赦無しにッ!。 殺戮と殺戮と殺戮を続けていたそんなある日、彼は侵入者に『殺された』。 畜生働きをし続けた外道に相応しい最後――― だが・・・・・・どんな運命によるものなのか、彼の物語は未だ終ってはいなかったッ! 舞台は絵に描いたような青空と野原! 小鳥の声と小川のせせらぎが織り成すハーモニー! 絶好の昼寝日和と言えるだろう!・・・・・・だが! ドッグォォォォォォォォォォン!! これまた絵に描いたようなドデカイ爆発が起こった! 「兄貴ィ、あれって悪の怪人が自爆する時の爆発と似てないかなぁ?」 と、誰かに何故か聞きたくなる程に!それはもう凄い爆発であったッ! 辺りに立ち込める煙、煙、煙 その爆発を起こしたルイズは、咳き込みながら爆発源を見つめていた 彼女が(またなの?・・・・・・また失敗なの!?)、と思ってるかどうかは定かではないが ルイズの周りを取り囲む面子はそんなルイズを冷めた目で見ている 「ほら、どうせ爆発するんだからやったって意味無いってのにさぁ」 「毎回毎回爆発で済ますのもイイカゲンにしてもらいたいよ」 彼等も最初の頃はルイズの失敗に笑っていた。 しかし、終わりの無いのが終わり、のように魔法を使う→爆発。が常識となってては笑えない 幾ら努力をしても進歩の無い駄メイジ『ゼロのルイズ』 彼女を見るクラスメイト達の爆笑が苦笑に変わり、苦笑が冷笑に変わるのにそれ程時間は掛からなかった ルイズは蔑みの目を全身に感じながら、それに対抗する様に――見ようによっては自分に言い聞かせるように声を張り上げる 「見てなさいアンタ達!この煙が晴れたら私のビックでグレートな使い魔が出てくるんだからね!」 流れそうになる涙を気合と根性とその他諸々で押し留めながら虚勢を張るのがルイズの生き方 ・・・・・・しかし、ルイズの心境はそれとは真逆「使い魔!出てくるのを祈らずにはいられないッ!」ってやつだ そして煙がおさまったあと、そこに見えてきたものは―――――― 煙が晴れた先に―――鳥が倒れている。 一瞬、其処ら辺を飛んでいる鳥が爆発で落っこちたのかと錯覚したがそんな事は無い 『ルイズがサモン・サーヴァントを成功させた』 その事実に周りのクラスメイトが騒然となる 「ルイズがサモン・サーヴァントを成功させたァ!?」 「あのゼロのルイズでもやる時はやるもんだな」 「何か悪い事が起きるんじゃないでしょうね・・・・・・」 「シュール」 普段のルイズなら怒りに震えるであろう。だが、今のルイズの耳には届かない (うふ、うふふふふふふふ) 最高にハイ!な笑顔でをしながら全速力でルイズは倒れている鳥に近づいた 鳥をよく見てみる、種類は隼だろうか。何故か変な兜とスカーフを付けているが、最高にハイ!なルイズの目にはクールでファンキーなアクセサリーとして映っている だが、ルイズが近寄ってもその隼は動かない。動こうとしない。 幸せの絶頂に浸っていたルイズはすわと不安になった・・・・・・もしかして自分は死体を召喚したのではないだろうか? 慌てて隼の体に触って生存を確かめて見る。 (暖かい。息もしてるし気絶してるだけのようね) ならば問題無い、善は急げと言うし、儀式を始めよう 「我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。五つの力を司るペンタゴン。この者に祝福を与え、我の使い魔となせ」 ルイズは屈んで、人間の口に当たる部分である隼の嘴に己の口を重ねた 私の意識は闇に包まれていた。子守唄のような声が繰り返し頭に響く。 (命令を遂行しなければならない)(何の?) (守らなければならない)(何を?) (■さなければならない)(何を?) (やらなければ)(何を?) (遂行しろ)(何を?)(守れ)(何を?)(■せ)(何を?)(やれ)(何を?) 突然、左翼に焼き鏝を押されたような熱が生まれた 「キョオオ―――z______ン!!!」 頭と肉体がコンマ数秒で覚醒!翼を振るわせて上昇する! そこで気が付いた、敵に吹き飛ばされたはずの右翼が直って・・敵?吹き飛ばされた? (敵とは?)(何故吹き飛ばれたと思った?) 目の前には何故か尻餅を突いている私のマスターの・・・・・・マスター? (こいつは違う)(何が?)(私の主人は・・・・・・)(何が?) 意識の一部に靄が掛かって、大事な部分が別の何かに改竄されているような、形容できない奇妙な感覚 羽ばたきながら私は首を傾げた 「キョオオ―――z______ン!!!」 「ひゃっ!?」 ビックリして尻餅を突いてしまった。いきなり目の前で大声を出されたら誰だって驚くだろうからこれは当然の行動に違いないうん 「・・・・・・終わりました」 埃を払いながら立ちあがり、教師に儀式が終わった事を伝える。ちょっと恥ずかしい 「全員終わりましたね。では皆さん学院内に戻ってください。」 そう言ってコルベール先生は宙に浮く。他の面子も宙に浮いて戻って行った。 私もフライを使おうとしたが――― ドン! やっぱりと言うか何と言うか爆発が起こった。成功すると思ったのになぁ、ちょっと落ち込む 「来なさい」 呆けたような顔をしている使い魔に告げる そしたらドギュュゥゥゥン!なんて音を経てそうな勢いで私の肩に飛んで来・・・結構怖いわね そこで、使い魔のスカーフに文字が書いてあるのが分かった (ペットショップ、使い魔の名前かしら?) 読み終わってから気付いた。スカーフに書かれている文字はゲルマニア語とは全く違う。 (何で私この文字を読めたのかしら?まっ、どうでもいっか) 寮に帰っていくルイズと使い魔『ペットショップ』 ――――幸福と栄光の象徴を手に入れたルイズはどんな運命に導かれるのだろうか?
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「物理的な衝撃に弱いとかあのハゲ…全然駄目じゃない…!」 深夜、宝物庫のある本塔の前でロングビル、もとい『土くれ』のフーケは怒り狂っていた。 昼間にコルベールから物理的な力が宝物庫の唯一の弱点であることを色目を使って聞き出し、自らのゴーレムで試したものの、壊れるどころかひびすら入らなかったのだ。 「…でも、私のゴーレムでも駄目だとしたら、どうしたらいいものかねぇ…」 そうつぶやいた時、本塔の脇の方から怒鳴り声が聞こえた。 「ツェルプストー!いい加減私の使い魔に近寄らないでよ!」 いきなりの怒鳴り声に驚き、さっと本塔の壁に張り付くと音をたてないように首だけを出してそっと声のした方を見た。 そこにはルイズ、キュルケ、タバサ、そしてポルナレフがいた。いや、よく見ると亀もいる。 とすれば怒鳴ったのはルイズらしい。よく状況は分からないが、彼等がそれぞれの部屋に帰らないと自分も部屋に帰れない。 まったく、彼女からしたらはた迷惑な話である。 ともあれ仕方が無いので、彼等が去るまでしばらく待機することにした。 「あら、いいじゃない。別にダーリンは別にあなたの恋人じゃなくってよ?最も、恋人でも私は奪うけどね~。」 キュルケはそう言うと、ポルナレフと腕を組もうとするが、ポルナレフはそれを横にずれる事で回避した。 「好意はうれしいのだが…言い付けでな…」 ポルナレフはそういうとすまなさそうに頭を下げた。その態度にキュルケの恋心はますます掻き立てられる。 「ダーリンの主人に対するその忠実さ…素晴らし過ぎるわ…!ルイズには勿体ないぐらいに!」 「忠実」 タバサも感心しているらしくボソリと言った。 「メルシー・ボークー」 二人にポルナレフは一応礼を言ったが、心中は複雑だった。 ポルナレフは使い魔ということにはなっているが、他の使い魔同様に忠誠を誓ったつもりはない。 だから忠誠を賞賛されても嬉しくともなんともないのだ。 しかも今はチャリオッツを取り戻している。 更に左手についたルーン…剣やナイフを持つと光りだし、体が軽くなると最近気付いた。 思い返せばギーシュとの決闘の時、ほぼ無意味ではあったが、ナイフを強く握ったとき体が軽くなった気がした。あれもこのルーンが原因だったらしい。 ルーンが輝くと、チャリオッツも昔程とまではいかないが、ローマのコロッセオで死ぬ前よりも動きが遥かによくなる。 この二つの力を駆使すればただのメイジどころか下手したらスクウェアクラスが相手でも負けはしないだろう。 だが、地球に戻るためには情報が不可欠であり、そのために使い魔であり続けなければならないことが非常に歯痒かった。 「まったく、忠実なのを誉めてくれるのはいいけどね、何度も言うけど近寄らないでよ!」 またルイズが怒鳴る。ポルナレフはやれやれ、と呟くと亀を拾い上げ、寮に向かって歩きだした。 「こら!何処へ行くの!待ちなさい!」 「今日の鍛練は中止だ。邪魔が多過ぎる。」 振り返ることもせずそれだけ言うと欠伸をしつつ寮に戻って行った。 「ご、ご主人様が邪魔ですってぇ~!」 「あぁん、待って~」 ルイズとキュルケがポルナレフの後を追い、タバサもそれに続いて寮に帰っていった。 「やっと行ったわね…」 フーケは四人と一匹が立ち去ったのを確認し、これからどうしようかと考えたが、ゴーレムでも宝物庫の壁が破壊できない以上、どうしようも無いので今夜はもう自室に帰ることにした。 その道すがら、ふと一抹の疑問が頭をよぎった。 「それにしても何でこんな時間に中庭にいたのかしら…?」 確かポルナレフは去る時『鍛練は中止だ』とか言っていた…『鍛練』…チャリオッツ… その時、フーケは『ある事』を思いつき、ニヤリと笑った。 これならいける。上手く事が運べば…! 次の晩、ポルナレフは昨日と同じ場所にいた。右手には以前街で購入したレイピアを携えている。 目の前には昼間に切り出しておいた丸太が数本。 目を閉じ、精神を集中させる…チャリオッツと自身を同化させる… 「チャリオッツ!」 喝!と目を開き、チャリオッツを呼び出す!現れたチャリオッツが目の前の丸太を瞬く間に切り刻んでていく! そして数秒後、丸太は見事な木像になっていた。こころなしか怯えているディアボロに見える。 「タイトルは『俺の側に近寄るな』…かな。」 ポルナレフが満足げにそう独りごちると、後ろからパチパチと手を叩く音がした。 「見事な出来栄えですわ。ミスタ・ポルナレフ。」 手を叩いたのはロングビルだった。 「見ていたのか?」 後ろを振り返らずにそう言うと隣の丸太を見る。その丸太も数秒で木像になった。新たに出来た木像を見てロングビルが驚いた。 「それは…私ですか?」 「私としてはそのつもりだが…似てなかったか?」 ポルナレフは二つ目の丸太でロングビルの木像を彫っていた。 「いえ、よく似ていますわ。たった数秒でやったとは思えないほどに…人間以上の精密動作にスピード…話の通りですわね。」 ロングビルは内心ほくそ笑んだ。これ程の『力』ならきっとイケるに違いない。 「ところでオールド・オスマンから伝言がありまして…」 「何だ?」 「少し、来て下さいますか?」 そう言うとロングビルは本塔の中に入っていき、ポルナレフはロングビルについていった。 「ここです。」 ロングビルは五階の廊下でいきなり立ち止まった。 「ここ?私には壁しか無いように見えるが…」 「オールド・オスマンはあなたの『力』がどれほどか知りたがっています。 なのであなたの力がどれほどなのかを至急調べる必要があるとの事です。」 ロングビルがあくまで事務的な口調を装って喋る。 「具体的には?」 「ここの、宝物庫の壁を斬ってみて下さい。それだけです。」 ポルナレフは少し考えてから、 「オールド・オスマンの命令とあれば従おう。しかし、今は『土くれ』のフーケとやらが蔓延っていると聞く。余りにも無用心じゃないか?」 と返した。 ポルナレフの返事に、ロングビルはあらかじめ計画していた通りに答える。 「いえ、私はこう見えましても土のラインです。多少の補修なら出来ますのでご心配無く。 それに朝になればスクウェアメイジが数人がかりで元に戻します。」 勿論出鱈目である。見かけ上の補修はするが、スクウェアメイジによる強化などしない。 「…再度確認するが本当にオールド・オスマンの密命なんだな?」 「はい。本気でやるように、とのことです。」 「…分かった。」 (かかったな阿呆が!) ロングビルは心の中でガッツポーズした。余りにも計画通りで、喜びの余り踊り狂いたかったが必死の思いで我慢する。 「それでは誰も来ない内に…」 ポルナレフは目を閉じ精神を研ぎ澄ます。 今まで精密かつ素早い動作の鍛練ばかりしてきた。こうやって剣の斬撃を試す機会は滅多に無かったからだ。 ちょうどいい。この機会に今出せる限りのチャリオッツの全力を試してやる。 「シルバー・チャリオッツ!」 シュパパンッ! シルバーチャリオッツの斬撃が宝物庫の壁を切り裂く。壁には十字型の切り裂いた跡が深々と残っていた。 「流石に宝物庫の壁はやはり破れませんか…」 「今は、な。若い頃なら貫通していただろうが。」 ポルナレフが悔しそうに言った。 「オールド・オスマンには伝えておきます。その前に修復を…。」 ロングビルが杖を振ると跡が土で埋められ、元に戻った。 ポルナレフはそれを見て安心し、寮のルイズの部屋に帰って行った。ロングビルも怪しく笑いながら自室へと帰って行った。 そしてその数日後、ポルナレフは再び自身の女運の悪さを思い知ることになる… To B... 「つーか買ったのに俺だけ亀の中に放置で出番無しってひでぇ。でも許す。あいつは俺の相棒だかんね。」 デルフリンガーは誰もいない亀の中で寂しく呟いた。 To Be Continued...
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ゼロの究極生命体 序 第壱話 究極生命体 召還 第二話 究極な使い魔 誕生
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ゼロと使い魔の書 第八話 ところ変わって学院長室。 壁にかかっている鏡が広場の惨状を映し出していた。 水のメイジがギーシュとルイズの使い魔を運び出す光景を、コルベールとオールド・オスマンが無言で眺めている。 ルイズの使い魔があの伝説のガンダールブと同じルーンを刻まれていた、という説明がなされた直後のことである。二人は映像が消えた後もしばし無言であった。 やがてオスマンが立ち上がる音で沈黙は破られた。 「コルベール君。あの使い魔は、一体どうやってギーシュ・ド・グラモンを倒したと思うかね?」 コルベールは室内をゆっくり徘徊する学院長の姿を目で追っていたが、やがてため息と共に返答した。 「正直に言って……まったく分かりませんでした。あの動きは、やはりガンダールブのものだと思うのですが、最後の最後、一体なにが起こったのか…… あの平民が何か『本』のようなものをかざした瞬間、ギーシュの体が勝手に潰れていったとでも言いましょうか、そうとしか見えませんでした」 自分の不甲斐なさに嘆息するコルベールをオスマンはしばらく眺めていたが、やがてその険しい顔をゆるめた。 「コルベール君。あの一瞬で『本のようなもの』を見出しただけでも、君の実力は相当なものじゃ……それはさておき、わしは彼が何をやったか、一つの仮説を立てている。 君は『スタンド』というものを聞いたことがあるかな?」 「スタンド……?いえ、聞いたことがありませんが……」 コルベールの答えを聞くと、オスマンはしっかりとした足取りで学院長室に設置された本棚へと向かう。その姿は到底百を越えた老人のものには見えなかった。 「先日この本棚を整理しとった時じゃ。一体どこから紛れ込んだのか、始祖ブリミルの記した日記の1ページを発見したのじゃ」 「……え!?」 さらりととんでもないことを言われて、コルベールは一瞬遅れて反応した。 「そこには驚くべきことが記されておった……王室に報告したところで偽物に違いないと一笑にふされるのは目に見えておったから、別に誰にも見せてはおらなんだが、 今回の出来事で確信した。あれは本物じゃったとな」 オスマンは本棚の一番上の段に手を伸ばすと、息をかければそのまま崩れていきそうなほどぼろぼろの紙片を慎重に取り出し、コルベールに見せた。 「マジックアイテムにしてマジックアイテムにあらず。魔力のかわりに持ち主の魂がこめられた道具の総称。それがスタンドであるとブリミルは定義しておる。君も知ってのとおり、 始祖ブリミルはハルケギニアを統一した際に先住魔法の使い手と戦っておるが、このスタンドを使う二人の……ふむ、なんと言ったらいいか、エルフではないだろうと書いてあるしの……『スタンド使い』でいいかの。その二人に苦戦を強いられたらしい。 一人は『アニ』。『創世の書』という本を持っておって、記述を読みあげることにより様々な幻獣を召還したらしい。もう一人は『ボインゴ』。『トト』と呼ばれる『絵本』を通して未来を予知したとされる」 ここでオスマンは言葉を切り、コルベールに視線を向けた。 「この『スタンド』について、わしも興味が興味が湧いたからの。別の文献で調べてみたんじゃが、すると出てくるわ出てくるわ。二度目に触れたものを確実に斬る妖刀やら、壁を透過して釣りたいものを釣り上げる釣竿やら、 どんな衝撃でも跪くことにより地面に受け流す鎧やら、とても四系統の魔法では説明できないような代物がいくつもあるんじゃ。一部の物にはあらゆるマジックアイテムを操る虚無の使い魔、ミョズニルトルンですら扱えなかったという逸話も残っておる」 「つ……つまり、ミス・ヴァリエールの使い魔はその『スタンド使い』であるかもしれないと……?」 「あくまで仮定に過ぎん。じゃがその可能性は高いであろう。分かっているとは思うが、コルベール君、このことと『ガンダールブ』の件はくれぐれも王室のボンクラどもには内密に、じゃ。またぞろ戦でも起こされるじゃろうて」 「は、はい!かしこまりました!」 オスマンは開け放された窓に目をやる。遠い歴史の彼方へ思いをはせるように。 「伝説の使い魔が、始祖に仇なすスタンド使い。はてさて、何の因果かのう」 オスマンの呟きは誰にも聞かれることなく霧消した。
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虚無の曜日。 この休日を魔法学院の生徒達はそれぞれ思い思いに使っている。 キュルケはもちろんデートの予定だし、タバサは静かに読書ができればいい。 ルイズはというとトリステインの城下町目指して馬で草原を駆けていた。 正確には使い魔を引き連れているのだが、ブラック・サバスは馬の影に入り込んでいるため姿が見えない。 道中会話をするわけでもないので、片道3時間の道のりは実質一人旅のようなものだ。 城下町でルイズはブラック・サバスに何かを買ってやるつもりだった。 モンモランシーに言われたからではないが、ブラック・サバスの力はあまり回りに見せるべきではないと思うようになっていた。 そこで、それなりの武器を渡しておけば、あの力に頼らなくてもいいのではないかという考えに至ったのだ。 もちろんヘタに危険物を渡して、また面倒ごとが増えるのではないかという懸念もある。 だが、最近のブラック・サバスは使い魔としての意識が芽生え始めたためか、ルイズの影にいることが多くなっていた。 授業にも、食堂にもついてくる。ただし何も食べようとしないが。 朝起こしたり、着替えを手伝ったり、掃除をしたりはしないが、洗濯だけは謎の使命感を持って毎日毎日している。 これはどうやらシエスタがいつも手伝ってくれているらしい。 シエスタは洗濯自体を手伝うだけでなく、ブラック・サバスが通れない道があったら自分の影に入れてやったりもしてくれているそうだ。 その事についてシエスタに礼を言ったら、自分も楽しんでやっているので気にしないでと言われた。 最近はブラック・サバスとも会話が弾むらしい。 と言っても一方的に話しかけるだけだが、それでも最初のときのような重苦しい雰囲気は感じないそうだ。 それはルイズも感じていた。何より最近はあのワンパターンのやり取りも減ってきている。 ……結局何が言いたいかというと、今のブラック・サバスになら武器を持たしてもそれほど危険ではないと判断したのだ。 トリステイン城下町に入る少し前でルイズは馬から下りた。 「サバス」 その呼び声に反応して、ルイズの影からニュッとブラック・サバスが現れる。 「ここからは歩いていくから。他の人の影とかに付いて行ったりしたらダメだからね!」 ルイズが腰に手をあて、まるで子供に対するようにブラック・サバスに注意事項を聞かせる。 「スリも多いからね。…………あんた財布は大丈夫?」 そう尋ねるとブラック・サバスは口を大きく開き、その中をルイズが見えるように向ける。 たしかにその中には、金貨が詰まって膨らんだ財布が入っているのが分かる。 それを確認したルイズは機嫌よさそうに笑った。 ピンクの髪の美少女と黒づくめの亜人のコンビは大通りでも目立つ存在だった。 ブラック・サバスからの妙な威圧感からか、通行人が避けて歩き、ルイズ達は目的の武器屋まで割とすぐに到着した。 薄暗い店の奥にいた親父はルイズが貴族だと気づくと、くわえていたパイプを離した。 「旦那。貴族の旦那。うちはまっとうな商売してまさあ。お上に目をつけられることなんかこれっぽちも」 それを聞いたルイズはブラック・サバスを指差す。 「客よ。使い魔に武器を買いに来たの」 「忘れておりました。最近は『土くれ』のフーケとかいうメイジの盗賊も暴れてるって噂ですし、下僕にまで剣を持たせるのも当然ですね」 ルイズはそこらへんの話は適当に聞き流し、ブラック・サバスの方を見る。 店の中が暗いため、今はルイズの影から出て店内を物色している。 「サバス。店の奥に行ったらダメだからね」 ルイズは改めて店主の方を向き尋ねた。 「『矢』とかないかしら。弓はいらないんだけど」 ルイズはブラック・サバスに合う武器はなんだろうと考え、口から剣を飛ばすよりも、矢のほうが様になるという結論に至っていた。 しかし、店主は首を横に振る。 「スイヤセン。あいにく矢も弓も置いておりやせんが……これなんかいかがです」 実際は店の奥に弓も矢も置いてあったが、せっかく世間知らずの貴族の娘が来たのだ。 鴨がネギをしょってきたとはまさにこのこと。店主は見栄えはいいだけで、使い物にならない剣を持ってきた。 「剣ですが。これなんかいかがです?」 店主の出してきた剣はまさに豪華絢爛。鋭く光る銀色がまぶしい。 「なかなかよさそうね。サバスこれにする?」 ルイズは一目見た瞬間から、その美しさに目を奪われていた。 だが一応使う本人であるブラック・サバスにも聞いておこうと、後ろを向いた。 「離しやがれ!この陰気臭えヤローが!」 急に聞こえた罵声に驚く。その声はブラック・サバスの方から聞こえてくるが、そのしゃべり方も声色も全く違う。 「離せって言ってんだろ!人間以外に使われる気はねー!」 その声はブラック・サバスが掴んでいる一振りの剣から発せられていた。 「やい!デル公!お客様に失礼なことを言うんじゃねえ!」 「デル公?……もしかしてこの剣インテリジェンスソード?」 ルイズは珍しそうにその剣を眺めた。珍しいと言えば、ブラック・サバスも興味深げにジロジロとその剣を見つめている。 「フ~ン確かに珍しいけど。どうせ使うならこっちの綺麗なほうがいいでしょ」 そう言ってルイズは再び店主が持ってきた、豪華な剣を手に持ってみる。 「は!上等だ!テメーらみてーな奴らに使われるなんて、こっちから願い下げだ…………ん?」 急に罵声が止まる。剣はブラック・サバスとしばらく見詰め合った後、口を開いた。 「おでれーた。見損なってた。てめ、使い……え、ちょっなにす……………………アッー!」 「ちょっと!サバスーー!ストップ!出しなさい!そんなの食べたら腹壊すわよ!」 ルイズはブラック・サバスが、デル公と呼ばれた剣を口の中に押し込んでいくのを見て、慌てて止めに入る。 刃の先端から入っていき、もうすでに顔の部分と思しき場所まで飲み込まれつつある。 サバスは動きを止めルイズのほうを見る。 ルイズは口の中に手を突っ込み柄をしっかり握ると、ブラック・サバスに。 「なによ!こんなのやめときなさい!もっといい剣買ってあげるから!」 「いやあ!やめてえ!他のもっといい剣買ってあげてェ!俺はいやだああ!」 口の中から悲鳴が聞こえる。ルイズは少しその悲鳴を聞いていたが、無視して再びサバスの方を見る。 「…………」 「…………」 「あっちのほうが綺麗よ。あっちにしときなさい」 「…………」 「口の中でしゃべられたら、きっとうるさいわよ」 「…………」 「…………これを気に入ったの?」 サバスがルイズの顔を見つめる。 ゴクリと唾を飲み込む音が口の中から聞こえる。恐らくインテリジェンスソードのだろう。 ブラック・サバスはこくりとうなずいた。 ルイズは溜息をひとつついて、柄から手を離した。 再び剣は口の中へと吸い込まれていく。 「ぎゃあー!!たぁすぅけぇ…………」 断末魔の叫びも聞こえなくなったところでルイズは店主の方へ振り向いた。 あっけにとられた顔をしてこちらを見ている店主に、ルイズは事も無げに伝えた。 「このインテリジェンスソード買うわ。おいくら?」 デルフリンガーGET! To Be Continued 。。。。?
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「うおおおおーッ! や…やめろ…ギアッチョ…こんな事を! …超低温を止めろッ!! ギアッチョッ! ケープ・カナベラルの後ならいくらでも命を捧げようッ! 私が(今死んだら)ここまでやって来た事が“起こらないという”事に変わってしまうんだッ! 人々は時の旅で見た運命を見なくなる!『覚悟こそ幸福』という事を思い出してくれッ!」 「『人類の幸福』の…『幸福』……ってよォ~~~ 『未来がわかる事が幸せ』ってのはわかる… スゲーよくわかる 未来で不安になる事はねえからな だが「人類の幸福」って部分はどういう事だあああ~~~~~っ!? 時間が加速したせいで事故っておっちんだ連中はどうだっつーのよーーーーーーッ! ナメやがってこの野郎ゥ 超イラつくぜぇ~~~ッ!! てめえ一人が死ねばいいじゃあねーか! 時間が加速した事故で死んだ人間はどうなるってんだ!チクショーーッ どういう事だ!どういう事だよッ!クソッ! 人類全体の幸福ってどういう事だッ! ナメやがってクソッ!クソッ!」 「やめろぉおおおお! このちっぽけなギャングがぁああああがああああああ ぐあばあああああああああ!!!」 ドシャアアーッ
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職員や生徒の間で勅使が亡くなった、というニュースが流れていたが、その日は大多数の生徒にとっていつもの平和な朝だった。 もちろん、1人の少女と使い魔の間でも。 「……で、あの『ぷろてくたー』ってのはなんなの?」 「俺の世界では、身に纏う防具だったが…名づけた相手にとっては比喩だろう。俺の体の管から水蒸気を出し、それをウズ状にして 俺の周りに纏わせる。そうすれば光が屈折して俺に当たらない、故に姿が見えにくくなる。まあ、元々の目的は透明化ではないがな」 「あんたの風って便利ねー。異世界の亜人ってこんなんばかりだとしたら…恐ろしすぎるわね」 ワムウはそうでもない、と否定をする。 「我々はもう4人、いや2人しか残っていない。あちらでは亜人などと言う言い方はしていなかったがためになにを指しているか 詳しくはわからんが俺の世界で高等生命に足る知性があるのは人間と吸血鬼、屍食鬼くらいだった。俺の知っている限りではな」 「我々、ってことはあんたみたく風を操るのがあと1人いたの?」 「元々は4人居たのだが、2人は戦死した」 ルイズは黙る。 ワムウは語りだす。 「我々は一人一人能力が違う。一人はサンタナ、奴には大した能力も知性もなかった。もう一人はエシディシ様だ。あのお方は我々の中で 最も勤勉で、人間どもの戦略を必死に学んでいたな。二〇〇〇年ぶりの目覚めだというのに『戦争論』だの『海軍戦略』読んでいてなにが 楽しいか私には理解できなかったがな。あとは少々、気難しいというかなんというか…そして、エシディシ様は熱を操る流法『怪焔王』を 使っていた。俺の能力よりも使いやすく、どんな状況でもあの方ははほぼ落ち着いていた…ほぼだがな」 「次はカーズ様だ。我々の世界で吸血鬼を生み出す『石仮面』を作り上げるほどの知能の持ち主であった。正直な話、俺が求める『戦士像』 とは違っていたが、それでも偉大な方であった、と俺は思う。カーズ様は……もうあうこともないだろうしお前に話しても構わないだろうな、 カーズ様の流法は『光』。輝彩滑刀の流法といって骨を硬質化してエッジの部分を絶え間なく動かすことによって『チェーンソー』のように 切れ味を増し、どんな堅い物質であろうとも切り裂く。俺の肉体でも一瞬で切り裂かれるかもしれんな」 ルイズは、この目の前の化け物のような働きをした亜人の肉体を切り裂く武器があるのかと驚き息を呑んだ。『チェーンソー』とはなにかはよくわからなかったが。 「そして…仲間ではないが…というか我々の敵である人間、俺を破った人間の話だ」 ワムウを一人で倒せる人間の話、と聞いてルイズは今まで以上に緊張する。 「名はジョセフ…波紋戦士…正真正銘人間の青年だ。」 「ねえワムウ、あんたの話にたまにでてきたけど…波紋ってなに?」 ワムウは少し考えたのち答える。 「波紋とは…俺には原理はよくわからんが…吸血鬼、屍食鬼、そして我々の天敵だ。我々一族は普通の生命が例えば蹴りをはなって 来たとしよう。我々はその蹴りを、足ごと吸収して食える。したがって武器なしで打撃を与えることは普通はできないし、 武器があったとしても我々に身体能力で敵う生命など生まれてこのかたみたことがない。これは自慢でも過信でもない。 我々の誇りと自負だ。しかし、『波紋』は我々の弱点である。人間がこれを纏えば、我々にとってはどんな鎧よりも恐ろしい鎧となる。 波紋を纏った蹴りを吸収しようとすれば内部から組織が破壊され、波紋が通っている油を塗った鉄球を打ち込まれれば 屈強な我々一族の肉体をも貫き、立ち上がることすらできなくなる」 ワムウは続ける。 「そして俺を破った戦士、ジョセフはその波紋の使い手の一人であった。波紋の強さ自体は今まで戦ってきた戦士の中では中の上 程度であった、が、自分の弱ささえも武器にし、自分の本質を最大限に生かしていた。これは前にもいったな。『したたかさ』と 『高潔さ』を両立できる人間…戦士を俺は尊敬している。俺にとってそういった者は友であり尊敬するもの。俺は俺を倒した ジョセフや、俺に向かってきた戦士たちを尊敬している」 「あんたのいう『戦士』って、ただ強いだけってことじゃないの?」 「強者こそは真理であるし、敬意をも払う。しかし、俺が目指す、尊敬している友人たちは強いだけではなかった」 「話が長くなったな、もうそろそろ食事の時間だろう」 ワムウは話を終え、外へと出て行った。 * * * 朝の食堂。 「お、おはようモンモンラシー!今日も素敵だね!」 キザなセリフを吐きながらも、なぜか声の裏返っているギーシュ。 「そんなに慌てて、またあんたなにかやましいことでもあるのね?」 「ぜ、ぜぜぜぜぜぜんぜんないよ!ハハハハ!」 「ギーシュ様…最低!」 入り口に立っている女の子が泣きながら外に走り出した。 「あの子は後輩のケティね……あんた、後輩にも手を出して…」 「ははは、ちょっと待ってくれ、平和的に話し合いで…」 「どうして欲しいのあんたは?色々と嫌がらせしてみる?あんたのファン減らすためには…そうね、色々とバラしてみる?」 「や、やめてください…」 「ってことはやっぱりまだやましいことがあるのね?オラオラオラァー裁くのは私の水魔法だァーーッ!」 今日も食堂は平和であった。 ルイズ達が入ってくるとやや雰囲気が強張ったが、決闘騒ぎはもう過去の物となり、影にさえ気にしていれば大丈夫とされたため 大多数には特に目立った変化もなかった。キュルケはまだ怯えている少数派の一員だったが。 「あら、おはようシエスタ」 「おはようございます、ミス・ヴァリエール」 「前は言いそびれちゃったけれども、ルイズでいいわよ。そんな畏まらないで」 「そ、そんな恐れ多いです……そういえば前に話しましたモット伯の話を聞きました?」 ルイズはビクリとふるえる。ワムウは平然と食事を続ける。 (落ち着くのよルイズ……落ち着いて自然数を数えるんだ…自然数はなにかがある数字…私と胸に力を与えてくれる…) 「い、いえ聞いてないわ」 「それが、行方不明になったらしくて、私が勤める話もご破算になって…それでここの仕事に復帰できたんです」 「そ、そうよかったじゃない」 「ミス・ヴァリエール、なんだか目が虚ろですけれど風邪でもおひきになられましたか?」 「べ、別になんでもないわ、大丈夫よ。気にしないで」 「そうですか、では仕事に戻らせてもらいます」 シエスタが席から離れていき、ルイズはため息をついた。 (なんとか、うまくいったようね…死体も残ってないから「行方不明」になってるんでしょうけど…冷静に考えるとすごい恐ろしいわね) どうにか一息つき、シエスタの働きぶりを眺める。 (しかしよく働くわねー。メイドだけじゃなくウエイターや会計までやってるわ) 今日は虚無の曜日の前の平日であり、出かけている人も少なく、食堂は非常に混んでいた。 そして、その日はウエイターが数人休んでおり、ただでさえ多いシエスタの仕事は増していた。 そのため、いつものシエスタならば起こりえないミスを犯してしまったのだ。 「あっ!」 シエスタが持っていた飲み物が手から落ち、横にいた女生徒の頭にかかる。 「す、すみません!ミス・ヴィリエ!」 シエスタは膝を土につけ、必死で謝る。が、 「おのれ…よくも私の髪に飲み物をッ!」 ヴィリエと呼ばれた女性はその程度では許す気にはなれないらしく、杖を懐から出し、振り上げる。 (ああ、私を魔法で殴る気だッ!) しかし、杖は振られなかった。 いつのまにか後ろに立っていたルイズが杖を抑えたのだ。 「やめなさいよ、大人気ないわ。仮にも貴族であるなら程度をわきまえなさい」 「あら、『ゼロのルイズ』が貴族観について私に意見するの?」 相手の言にルイズは激昂しそうになるが、堪える。 「ええ、そうよミス・ヴィリエ。謝っているのにそれを認めずに杖を出すのがあなたの貴族観だっていうの?」 「ええそうよ、平民風情が多少謝ったところで許してたら私たち貴族の誇りは守れないの。私、残酷ですもの」 ルイズの眉が震える。 「じゃあ、どうすれば許すってのよ」 「どんなに魔法で痛めつけても、私の心は晴れないし許す気にもならないけど…それくらいの罰は受けてもらわないと、貴族としてね」 ルイズは一歩下がる。 そして、 目の前の少女を思いっきり殴った。 乾いた音が静かな食堂に響く。 倒れた状態でヴィリエは叫ぶ。 「おのれ…よくも私のハダに傷をッ!」 「や、やめてください!ミス・ヴァリエール!私が悪いのです!」 シエスタがルイズを止めようとする。 しかし、ルイズはそれを無視する。 「あんたがいくら私を侮辱しようとも構わないけれど…私の友人を侮辱するようなら!私はあんたを 許さないわ!貴族による決着のつけたたを私から教えてあげるわ、決闘よ!」 「決闘…ですって?貴族同士の決闘は許されていないわ」 「そんなのは関係ないわ…侮辱には『決闘』も許される!ヴェストリの広場で待ってるわよ」 ルイズは後ろを向き、出口へ向かう。 そして、一度振り向いて 「ただ、あんたがこの決闘の申し込みにも従わず、負けても従わないようなら、私はあんたに対して『貴族らしく』なんて考えないことにするわ」 そう呟いて食堂を出て行った。 To Be Continued...